広報誌や会社案内パンフレットの「ご挨拶文」が読まれない理由
世の中には、さまざまなタイプの広報誌や会社案内があり、掲載されるコンテンツの種類も多岐に渡ります。
その中でも、共通して「読まれない」ネタといえるのが「ご挨拶文」ではないでしょうか。
とはいうものの、トップの方によるご挨拶文や、個人事業主の方ならご自身のご挨拶文を「誰も読まないからカットだ!」というわけにもきませんよね。
そこで今回は、広報誌や会社案内で読まれないコンテンツといえるご挨拶文を、読まれるコンテンツに変える改善法をお伝えいたします。
まずは、なぜご挨拶文が読まれないのか、その原因から分析していきましょう。
「建前」が多い文章は嫌われるから
ズバリ、ご挨拶文が読まれない一番の理由は「建前」ばかりだからです。
建前とは、社会的な立場や肩書きに則った「表向きの意見」です。
実際、組織のトップの方の場合、ご自身の意見というより組織の意向を代弁した内容にならざるを得ないですよね。
むしろ、ご挨拶とは「そういうもの」という共通認識があるといってもいいくらいでしょう。
とはいえ、これだけ情報が溢れている今、わざわざ時間を割いて「建前」に目を通してくれる人が少ないのも事実です。
Webに掲載するご挨拶文ならなおさらで、特にネットでは建前やウソが嫌われます。
つまり、そもそもご挨拶文は本質的に「読まれない」文章なのだと認識することが、改善への第一歩になると思います。
「長い」文章は読まれないから
そんな、読まれない文章が長ければ、もっと読まれにくくなるのは当然です。
今の時代、自分が興味のある文章でも長ければ読み飛ばされたり、途中で断念されてしまいがちです。
でも、ご挨拶文って結構、長文であることが多いんですよね。
個人的な感覚ですが、組織の規模に比例してトップの方のご挨拶文も長くなることが多い気がしています。
また、一生懸命伝えようと思われている真面目な方(組織)ほど長くなる傾向があり、結果的にさらに読まれにくくなるという悪循環もよくみられます。
「無難」な文章は退屈だから
ご挨拶文というと、どうしてもかしこまってしまい、無難な内容になってしまうことが多いんじゃないでしょうか。
書き手の「無難」は読み手の「退屈」である、という言葉があります。
文章は建前的であればあるほど、どんどん無難になっていき、どんどん退屈度が増していきます。
書き手側には建前的になる理由があるかもしれませんが、読み手側にはそんなこと関係ありません。
朝礼で校長先生や社長が挨拶しているなら、我慢して聞いている「フリ」くらいはするかもですが、広報誌や会社案内だったら、ただそっと閉じられるだけなのです。
広報誌や会社案内パンフレットのご挨拶文の改善法
では、どうしたらそんな挨拶文が読まれるようになるのでしょうか?
もちろん、必ずこうすれば読まれる!という絶対的な解決方法はありません。
ただ、ここまでご紹介してきた3つの読まれない原因をもとに、できるだけ読まれる方向に変える改善策はあると考えています。
というわけで、読まれない3つの理由をもとにした改善法をご紹介します。
建前をやめて「本音」で書く
建前が読まれないなら、それをやめて「本音」を書きましょう、というだけのシンプルな方法です。
とはいうものの、急に自分の本音を書きましょうと言われても困ってしまう方が多いはず。
また、ご挨拶文が急に赤裸々な本音だらけになってしまったら、読み手も戸惑ってしまいますよね。
そこで良い方法があります。それは「プライベートの開示」です。
ご挨拶文の中に、ご自身のプライベートな話題を挟み込むのです。
先日食べた美味しいものの話とか、好きな小説や映画の話、あるいは趣味についてや最近あった驚きのこと、感動したことなどなど、ご挨拶文の流れに沿った話題なら、なんでも構いません。
そうしたプライベートでの話題からは、書き手の本当のお人柄、あるいは本音が垣間見えるのです。
プライベートな話題を書くことが難しければ、ご自身の失敗談などもいいかもしれません。そうやってプライベートを開示するだけでも、建前だらけのご挨拶文から脱却できるはずです。
ご挨拶文を短くする
これもシンプルな話で、長いなら短くしましょうということです。
最も多いご挨拶ページの使い方は、A4サイズ1ページを丸々使うパターンでしょう。
その場合の文字数は、一緒に載せる写真や文字のサイズにもよりますが、大体800〜1,200文字といったところです。
確かに、それなりに思いなどをしっかり語ろうと思うと、それくらいの文字数が必要になるかと思います。
でも、その文字数を読んでもらえるのは、自分の言葉で、本音で、しっかり考えや思いを書いた時だけだと思います。
それがどうしても建前的になってしまう、あるいは文章を書くのが苦手、という場合は、ちょうど原稿用紙1枚分の400文字くらいでもいいんじゃないかと個人的には思っています。
無理してA4サイズの1ページを埋めようとするから、建前とか形式的な文言などがどんどん入ってきてしまうのです。
400文字だと、大体1ページ(A4)の4分の1くらいのスペースになるでしょう。
それくらいなら読み手に目を通してもらいやすく、書きやすい量でもあるんじゃないかと思います。
ターゲットを絞って無難を回避する
最後の改善法は「ターゲットを絞る」という方法です。
「書き手の無難は読み手の退屈」と、先述しましたが、無難ということは誰に対しても当たり障りのないとい文章ということです。
言い換えれば、誰にも刺さらない文章になってしまっているということです。であれば、そこから抜け出すにはターゲットを絞ることが有効になってきます。
でも、ご挨拶文でターゲットを絞るってどうやって?と思いますよね。
これは私が実際に提案して採用されたアイデアなんですが、とある学習塾の集客チラシを制作した際、塾長先生のご挨拶文を「保護者様向け」と「中学生向け」の2種類書いていただいたのです。
保護者向けには「まったく勉強しないお子さんでも、きちんと指導します」といった内容を書き、「中学生向け」には「勉強ができないんじゃなくて、やり方がわかっていないだけだから大丈夫」的なことを訴求されました。
このように、ターゲットを絞れば書く内容は必然的にまったく違うものとなり、しかも具体的で、刺さりやすい内容になります。
実際、この文章は好評で、何名かの方が「ここを読んで入塾を検討しました」とお問合せがあったそうです。
ただ、「2種類もご挨拶文を載せるスペースがない!」「そんなに書けない!」という方もいらっしゃるでしょう。その場合は、ターゲットをひとつに絞ればいいと思います。
そんなことしたらそのターゲット以外に響かなくなる、と懸念されるかもしれませんが、しっかりひとつのターゲットに届く内容の文章であれば、それ以外の方が読んでも結構、響くものなんです。
少なくとも、無難に書いて誰にも刺さらない文章よりは読まれるご挨拶文になるはずです。
広報誌や会社案内パンフレットのご挨拶文はなくても成立する
最後に、身も蓋もないことを言いますね。
広報誌や会社案内パンフレットにおいて、「ご挨拶文」というのは、なければないで作れてしまうんです。
なくても成立するものであり、先述したように本質的に「読まれない」文章なのです。
だからこそ、ただ書いて、ただ載せるだけでは、誌面を食うだけのコンテンツとなり、誰にも興味を示されなくなってしまうのです。
そして、だからこそ「どうすれば読んでもらえるのか」と、必死に読者のことを考える必要があるのです。
広報誌や会社案内パンフレットの制作の際に大切なのは、「読者に何を伝えるか」ではなく「読者は何を読みたがっているか」と推測することなのです。
それはどんなコンテンツにも共通して大切なポイントであり、もちろ、ご挨拶文にもいえることだと思っています。
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