「編集者」と呼ばれる職業って、いっぱいありますよね。雑誌や書籍の編集者、漫画の編集者、最近だったら動画の編集者とか。
でも、動画の編集者はともかく、ほかの編集者って正直、なにをしてるのかよく分からないんじゃないでしょうか。
それって、ある意味当然なんです。
なぜなら、パンフレットや書籍などの編集者は、読者の目に入るデザインや文章ではなく、はたからは「見えない」仕事を担当しているからです。
というわけで、見えないなら言葉で伝えるしかないので、普段、私がパンフレットの編集者としてどのような仕事をしているのか、ご紹介したいと思います。
「伝わる」パンフレットの制作における編集者の重要性とともに、伝わるパンフレット作りのポイントも同時にお分かりいただけたら幸いです。
パンフレット編集者ってなにする人?
では、読者からは「見えない」仕事とはどういったものなのか、具体的に説明していきます。
結構、多岐にわたる役割があるんですよ。
パンフレット編集者は土台を作る「設計士」
パンフレットを作ろうと思った時、多くの方は、
「グラフィックデザイナーに依頼して、オシャレな広報誌を作ろう」
「うちのサイトを作ってくれたWebデザイナーに、会社案内のリニューアルも任せよう」
そんな風にイメージされるんじゃないでしょうか。確かに、パンフレット制作においてデザインは重要です。
でも、実はデザインよりも先に「誰に、何を、どのように伝えるか」といった「冊子の内容」を企画する段階が不可欠なんです。
そして、それらの企画を考えているのが編集者なのです。
ここでいう企画とは、一冊全体の「コンセプト」の立案だったり、掲載内容をどういった順番で見せるかという「ページネーション」の組み立てなどです。
パンフレットは、一覧性の高さが強みのひとつです。そのため、さーっと、一覧しやすくコンテンツが並んでいないと、強みが消えてしまいます。
その点を意識しながら、読者の興味を最後まで離さないページの流れを考えるのです。
いわば、パンフレットの「土台作り」であり、建物でいえば、この段階の編集者は「設計士」に近い役割といえます。
パンフレット編集者は、各クリエイターに指示を出す「現場監督」
編集者は、基本的にデザイナーさんやライターさん、カメラマンさんといったクリエイターの方々とタッグを組んで制作にあたります。
全体を俯瞰しながら、原稿やデザインの制作をどう進めるべきか考え、実際に原稿の手配・デザインの打ち合わせなどを行います。
これは「進行管理」と呼ばれる、編集者の重要な仕事のひとつです。そしてこの時、進行の基準となるのがスケジュール表です。
なので、クライアントや各クリエイターの都合をふまえた「スケジュール表」の作成も編集者のお仕事ですね。
つまりは、実際の制作作業をできるだけ滞りなく進行させていく「現場監督」でもあるのです。
文章やデザインなどのクオリティにも責任を持つ「品質管理人」
編集者は修正も行います。
あがってきた原稿の内容がコンセプトに合っていなかったり、日本語に変なところなどがあれば修正し、より読みやすく仕上げます。
これを「朱書き」といいます。基本、赤ペンで直すからです。別に、青ペンで直しても全然いんですけどね。
同様に、デザインにも朱書きを入れます。色使いやフォントの種類、あしらいに至るまで、細かく見ては修正を入れ、これに関してはデザイナーさんに戻します。
が、この朱書き…デザイナーさんにもライターさんにも、あんまり歓迎されません(…という気がしています)。
そりゃそうですよね。一生懸命作ったものに修正が入るわけですから。
でも、このやり取りこそがパンフレットのクオリティを高め、「伝わる」パンフレットにブラッシュアップするためのカナメなんです。
なぜなら「第三者の目」が入るからです。
ライターさんやデザイナーさんといった、実際の作業者がひとりだけで完結させてしまうと、どうしても客観性は下がります。
客観性が下がると、必然的に「主観」に頼った作業になりがちで、結果、誌面のバランスが崩れ、ターゲットへの訴求力も低下する可能性があるのです。
そうならないように、編集者は第三者の目でもって客観的・論理的に一冊全体の、あるいは、1ページ内のデザインや文章のバランスをチェックしているのです。
つまり編集者は、最終的な完成度を高めていく「品質管理人」ともいえます。
ちなみに、私はライターでもあります。なので、一冊の制作において編集者とライターを兼任することもあります。
じゃあ「第三者じゃないやん!」と言われそうですが、そんなことはないんです。
ライターとして原稿を見直している時と、編集者として誌面にレイアウトされた文章を読んでいる時とでは、まったく違う視点なんです。ほんとに。
原稿と誌面という状態の違いもあるのでしょうが、やはりその時の自分の役割は違うと意識しているからだと思います。
実際、ライターとして原稿を仕上げた時には気づかなかった間違いや矛盾などに、編集者として気づくことはよくあります。
そして、「だめだなぁ〜、このライターは」と思いつつ、自分で自分の原稿に朱書きを入れています。
やはり、編集者という「役割」というか「工程」自体が存在していることに意味があるのだと思います。
パンフレット編集者はクライアントと直接やり取りする「交渉役」
最後に、編集者は交渉役でもあります。
まずは、クライアントとの交渉です。最初のヒアリングでご意向を伺い、編集会議で具体的なことを詰めていきます。
そして制作に入ると、デザイナーさんやライターさんから上がってきた制作物を編集者がとりまとめてクライアントに見せ、逆に、クライアントからの修正指示を各クリエイターに伝えます。
この際、クライアントからの修正内容がちょっと実現するには難しかったり、あるいはもっと良い代替案があれば、その旨を正直に伝えるのも編集者の役目です。
これは、交渉というより、折衝といった方が近いかもしれません。
いずれにしろ、クライアントの要求をクリエイターにそのまま「〜と言われていたので、そうしてください」と伝えるだけの編集者なら、多分いない方がスムーズでしょう。
本当に無茶な要求だったら、何がどう無理なのかを論理的に説明して納得してもらい、そうでなければ、ライターさんやデザイナーさんと一緒に頭をひねりながら、どうしたらクライアントの要望を実現できるのかを考える、それが編集者の役割です。
つまり編集者は、それぞれのクリエイターとも交渉しているのです。
編集者の「見えない仕事」は、伝わるパンフレット作りに不可欠
かつて出版社でパンフレットや書籍の制作に携わっていた時代、上司がよくこんなことを言っていました。
「冊子の形をしていても、編集物になっていないものは多い」と。
当時は、なにを言っているのかよく分からなかったのですが、さすがに20年もこの仕事をしてきた今は分かるようになりました。
つまり、きちんと「編集」されているかいないかということなんですね。
編集とは端的にいえば「意図」だと思っています。
読者にわかりやすく伝えるために、どれだけ明確に意図をもち、そして、どれだけその意図を1ページ内、あるいは一冊内で表現できるのか。
ただ単に、きれいなデザインを並べるだけでは意図は伝わりません。
ただ単に、インタビュー内容を文章にするだけでも意図は届きません。
「何を伝えるのか」「どう構成するのか」を考えながら、全体を組み立てていく編集者の「見えない仕事」が、同じく「目には見えない」意図を明確にし、パンフレットの訴求力や面白さを支えているのです。
編集されていないパンフレットは、一般の方でも「なんか見にくいな」とか「なんかつまらいないな」と、潜在的に感じられていると思っています。
本当に自社の情報を伝えたいなら、そして、本当に読者に読まれる一冊をめざすなら、ぜひ、編集者か「編集視点」を持ったクリエイターと一緒に、パンフレットづくりをされることをおすすめします!
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