「会社案内をもっとわかりやすくしたい!」
「古い広報誌をおしゃれにしたい!」
「ワンパターンのチラシをリニューアルしたい!」
でも‥‥‥
「センスがないから、デザインをいじれない‥‥‥」
といった声を、よく耳にします。
でも、実はパンフレットのデザインって、センスがなくてもできるんです。
僕の体感では、デザイン制作でセンスや感性が必要になるのは、工程の最後の2割くらい。
しかもその工程は、だいたい外注デザイナーさんが担うので、個人事業主や小さな会社でパンフレット制作を担当されている方が、そこまで気に病む必要はないんじゃないかと。
仮に、ご自身で作っていたとしても、最後の工程に至るまでの8割ができていれば、もっと楽にデザインに取り組めるようになるはずです。
つまり、外注でも自作でも、最も大事なのはセンスを要しない8割の部分なのです。
ということで!
今回は「センスを使わずに」パンフレットデザインを改善するコツをご紹介します。
これまで僕が、制作に関わった実例をもとにお話しするので、初めてパンフレット制作を担当される方でも、すぐに実践できる内容になっています。
それ以上に、デザインに対する考え方が大きく変わると思うので、デザインに「苦手意識」があるご担当者さんは、ぜひお読みください。
パンフレットデザインは論理的に作れる
「センスを使わずにデザインするって、どうやって?」と思われた方に、早速、結論からお伝えしたいと思います。
センスを使わずにパンフレットのデザインを改善する方法は、「論理的に作る」ことに尽きます。
デザインというと、どうしても感覚的に作るイメージがあるかもしれませんが、そこがそもそも誤解なんです。
これまで数多くのデザイナーさんとお仕事してきましたが、「センス」のある「おしゃれ」なデザインが得意なデザイナーさんほど、論理的にデザインされていました。
生まれ持ったセンスだけで、いい感じに配置し、ステキな色にしている訳ではないんです。
と、いきなり言われても「論理的に作るってどうやって?」と思いますよね。
そこでご紹介したいのが、今回の本題である、以下の3つのコツです。
- デザインには「役割」があると理解する
- デザインの方向性はターゲットから逆算して考える
- ターゲットが近い雑誌やパンフレットのデザインを参考にする
こちらを順に説明していきますので、一緒に読んでいただければ、デザインを論理的に改善していくノウハウがおわかりいただけると思います。
ではまず、
①パンフレットのデザインには「役割」があると理解する
からご説明していきます。
パンフレットデザインの一番の役割は「情報の伝達」
これは、どちらかというと「考え方」の部類ですが、とにかく最初にお伝えしたいことがあります。
それは、商業デザインである以上すべてのデザインに「役割」があるということです。
パンフレットのデザインの役割とは、より確実に「興味をひき」「情報を伝達する」ことです。
表紙デザインで興味を喚起して手にとらせ、誌面を開いた人の目線を誘導し、最後まで読んでもらうという役割。
平たくいえば「興味と読みやすさの向上」ですね。
この目的を果たすために、誌面上のデザインは考えられているということを、まずは理解ください。
デザインを主観で作ると情報が伝わりにくくなる
でも、実際にデザインを考え始めると、どうしても、おしゃれな色使いとか、ステキな装飾とか、かわいいフォントといったビジュアル面に意識が向いちゃいますよね。
さらに、その業界を熟知していると「カンや経験」で作ってしまいがちです。
でも、それって主観ですよね。
主観は、論理的に作る際に最も排除すべきものです。
実際、自分が「ステキ〜」と思っても、隣の同僚にはダサく見えてるかもしれないし、業界を熟知した社内では好評でも、一般読者には不評かもしれません。
しかも、主観は感情です。コロコロと変わります。
昨日は「おっしゃれ〜」と思ったデザインでも、翌日にはダサく感じることなんてよくある話です。
パンフレット制作でデザインの話になると、大勢では話がまとまらず、一人だといつまでも決められなくなるのは、多くの場合、主観を根拠にしているからです。
そして、主観で作られたデザインは往々にして情報を伝わりにくくします。
なぜなら、読者目線で作られていないからです。
もちろん、おしゃれさやステキさにこだわること自体は全然、問題ありません。
ただ、それはデザイン工程のずっと後の話。
それよりも先に「興味と読みやすさ」をアップさせるにはどんなデザインが必要か、という点から考え始めてみてください。
きっと、デザイン改善の切り口が見えてくるはずです。
そして、その際に根拠としてほしいのが、主観ではなく、パンフレットの「ターゲット」です。
興味をひく、読みやすいデザインはターゲットごとに異なる
パンフレットデザインの本質的な役割が「興味と読みやすさの向上」だと理解しても、実際にデザインする際の方向性を、制作側のカンや経験といった主観で決めてしまっては意味がありません。
なぜなら、興味を引くデザインも、読みやすいデザインも、ターゲットごとに大きく異なるからです。
そんな時に使えるのが、
②デザインの方向性はターゲットから逆算して考える
という、2つ目のコツになります。
相手軸でのデザイン改善が読まれるパンフレットのコツ
「ターゲットから逆算して考える」とは、パンフレットのターゲットに好まれるデザインを推測し、それに近づけていくということです。
つまり、どんなデザインがいいかは自分で考えることではなく、ターゲット次第ということです。
ここからは、実際のエピソードをもとにお話ししたいと思います。
過去に、ブライダル系専門学校の入学案内パンフレットを制作した時のことです。
担当者さま曰く
「最近の10代の子は文章を読まない。特にブライダル志望の子は、華やかな雰囲気やキラキラしたイメージに憧れを持っているので、文章よりビジュアルで訴求したい」
とのこと。
そこで、こんな方向性のデザインを提案しました。
- メインカラー:明るめのピンク
- 装飾など:かわいく、ゴージャスに
- レイアウト:ファッション雑誌風に動きのあるレイアウトに
- 掲載写真:インスタ風の正方形写真やスナップ写真を多用
- 文章:できるだけワンフレーズに抑え、インスタコメント風に
うーん、実際の誌面をお見せできないのが残念ですが、意図はわかっていただけましたでしょうか。
つまり、入学案内パンフレットというと、説明の文字が多く、ちょっとお固いイメージがありますよね。
そこで、従来の「読んでもらう」案内パンフレットではなく「眺めてもらう」ことを意識した、イメージブックのような方向性でデザインを考えたのです。
これらの対策のおかげで、その年の入学案内パンフレットは、入学希望者に好評だったとフィードバックを頂きました。
できるだけ主観は排除し、あくまでも10代女子の嗜好から逆算するという、「相手軸」で考えたことで進むべきデザインの方向が見えた実例になります。
逆に、高齢者向けサービスの案内のパンフレットなら、「じっくり落ち着いて読める」方向性のデザインを重視すると思います。
例えば、こんな風に。
- メインカラー:落ち着いたトーンで統一
- 装飾など:季節感を強調しつつ、シンプル・ナチュラル系に
- レイアウト:基本、縦書きレイアウト
- 掲載写真:見やすさを考慮し大きく、整然と配置
- 文章:多めでもOK、ただし文字サイズは大きめに
繰り返しますが、これはセンスでも感性でもなく、ターゲットを根拠に導き出したデザインの方向性です。
この程度の方向性でも決めておくことができれば、その後の工程は進めやすくなると思います。
というわけで、「ターゲットから逆算して考える」ことで、デザインの方向性を決めるコツをご紹介しました。
パンフレットデザインはマネから入るのも大事なコツ
では、3つ目の、「ターゲットが近い雑誌やパンフレットのデザインを参考にする」というコツについてご説明します。
相手軸で見えてきたデザインの役割を、具体的にデザインに落とし込んでいく際のノウハウになります。
誰でもすぐに、今日からでも始められる簡単なコツですので、ぜひ実践してみてください。
プロデザイナーも他のデザインを参考にしている
「ターゲットが近い雑誌やパンフレットのデザインを参考にする」とは、身もふたもないこと言いますが、ようは「マネしましょう」ってことです。
もちろん、丸パクリはNGですよ。
でも「参考にする」くらいは問題ありません。
実際、制作会社やデザイン会社には、デザインの参考にするための専門書がたくさん並んでいます。
新しいパンフレットの依頼があるたびに、デザイナーさんは、そうした色んなデザインの専門書の中から参考になりそうなデザインを見つけ出し、アイデアのもとにしているのです。
プロでさえ、まるっきりゼロから生み出しているわけではないのです。
むしろプロこそ、外部から色んな情報を仕入れて、活用しているのです。
だから皆さんも、いろんなデザインの本を見て、今回のターゲットにフィットする方向性のデザインを見つけ出してください!
‥‥‥といっても、一般企業でデザイン関連書籍をたくさん揃えることは現実的ではないでしょう。
そのための良い方法が、本屋です。
本屋は参考になるパンフレットデザインの宝庫
当たり前ですが、本屋には、あらゆる世代、属性をターゲットにした、それこそプロデザイナーが手がけた本が並んでいます。
その中から、あなたが担当しているパンフレットとターゲットが近い本を開いてみてください。
きっと、一人で考えているだけでは思い浮かばなかったデザインのアイデアやヒントに出合えるはずです。
この手法は「類書検索」といって、私たちプロ編集者やデザイナーもよくやっているんです。僕も、本屋や図書館によく類書探しに行きました。
近頃は、ネットで検索しても結構、誌面デザインが見られるので、時間がない方はそうした方法でもいいかもしれません。
ただ、紙媒体をつくるなら、やはりPC画面ではなく紙媒体で見た方が参考になると思います。
僕も以前、中高年女性をターゲットにした広報誌のコンペに参加した時、『婦人画報』や『ミセス』、『暮らしの手帳』などを参考資料として買いました。
当時30代前半だった僕には、中高年女性が好むデザインは分かりませんでしたからね。
皆さんもぜひ、本屋へ行って「マネできる」デザインを見つけてください。
ちなみに、そうした雑誌や書籍を買う資金がちょっとなくて‥‥‥という方もいらっしゃるでしょう。
特に、デザインの専門書は、結構お高め‥‥‥。
そんな時におすすめの方法が、街で見かける「フリーペーパー」の活用です。
街を歩いていて、フリーペーパーを見かけたことありませんか?
スーパーの入り口とか、駅の改札のラックなんかによく並んでますよね。
冊子タイプのものもあれば、タブロイド型(新聞みたいなやつ)もよく見かけます。
あのフリーペーパーもパンフレットの一種といえます。
そして、しっかりデザインされているものも多いので、ターゲットの好みそうなデザインの参考にしてみてください。
特に、電鉄系のフリーペーパーは、レベルの高い制作会社やデザイン会社が手がけていることが多いので、デザイン、企画、ライティング、あらゆる要素が参考になると思いますよ。
いずれにしろ、まずはたくさん手に入れて、片っ端から眺めてみることをおすすめします。
なにせ、タダですから!
パンフレットデザイン改善のコツは主観を排除するコツである
以上が、センスを使わず、論理的にデザインを改善するコツになります。
そして、お気づきですか?
これらのコツはすべて、あなたの「主観を排除する」ための方法でもあるのです。
繰り返しますが、パンフレット制作では、デザインはもちろん、企画もライティングも、カンや経験といった主観をもとにつくることは避けないといけません。
なぜなら、読むのはあなたではないからです。
「これは自分だけが読むためのパンフレットなの!」とか「これはアート作品よ!」というなら、主観全開でつくっていいと思います。
でも、パンフレットやチラシはビジネスツールです。ビジネスである以上、ターゲットである読者から何らかのリターンがほしいはずですよね。
それなら主観を排除し、ターゲットを根拠にすることで「読まれる」パンフレットをつくることが第一歩となります。
そのためには、ぜひ3つのコツを参考に、ターゲットに伝わりやすい、そして読まれやすいパンフレットデザインを制作してみてください!
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