大阪吹田の編集ライティング&デザイン制作

文章の校正ってどこまでやればいいの?考え方のポイント編

校正の考え方を示す誌面

パンフレットやチラシの文章校正って、地味に大変な作業ですよね。

時間はかかるし、集中力もいるし、眠たくなるし。

しかも、間違いを見逃したら大変だし。

「いったい、どこまで、いつまで、何回やればいいのよー!」

と思っている方は少なくないと思います。

そこで、今回のコラムでは、あなたの文章校正を楽にしてくれる「考え方のポイント」をご紹介します。

これまで20年近く、パンフレットやチラシの編集者・ライターとして、校正も数えきれないほど手がけてきた中で得た気づきや経験を、オープンに教えちゃいます。

というわけで、本コラムでお話しする内容は、基本的にパンフレットやチラシといった紙媒体を前提とした文章校正の方法になっております。

でも、Webの文章校正にも通じる考え方だと思うので、Web担当者の方も、ぜひ参考になさってください。

目次

どこまでやっても文章の校正に「100点」はない

まず、文章の校正を「どこまでやればいいのか」を語る前に、お伝えしておきたい大切なポイントがあります。

それは、文章の校正に「100点」はないということです。

これは私個人の意見とか、考えとかではなく「事実」です。なぜなら、人間が行う作業だからです。

にもかかわらず、100点を目指そうとするからしんどいのです。

以前、大手印刷会社で校閲・校正者として長年働いていた方のエッセイを読んだことがありました。

当然、その方は毎日朝から晩までチラシやパンフレット、書籍などの文字をチェックしているのですが、誤植などをスルーしてはクライアントに怒られるシーンが日常茶飯事として書かれていました。

毎日毎日朝から晩まで校正・校閲をしているプロでさえ見落とすわけですから、そこまでの熟練者ではない皆さんが100点を取れないのは当たり前です。

もちろんやる以上は完璧を目指すのですが、結果、漏れがあっても落ち込まない、責めない、引きずらない。

その意識が、実は結構大切なポイントだと私は思っています。

とはいえ、現実問題として、絶対に間違えてはいけないポイントがあるのも事実です。

「ごめんなさい」では済まされない部分ですね。

私は、以下に挙げる箇所だけは、絶対に間違えないように心がけています。

固有名詞は校正で見落としてはいけないポイントの一つ

まずは、固有名詞です。例えば、人の名前や会社・組織名、地名などですね。

理由は言わずもがな、事実と異なる上に失礼だからです。

私もかつて、取材に協力してくださった「◯◯市動物病院」という固有名詞を「◯◯動物病院」と、「市」が抜けた表記をしている箇所を見落としてしまったことがあります。

たかが一文字、されど大きな一文字です。正式名称ですからね。

担当者の方は「あーほんとですねー」と、お怒りの様子ではありませんでしたが、「とはいえこのまま出すわけには…」ということになり、刷り直しになってしまいました。

まだ配布前だったのは不幸中の幸いでしたが、恥ずかしい過去でございます。

特に会社名や組織名は、上記のように、実は個人的にはそこまで大事と捉えていなくても、組織としてOKするわけにはいかない、という理由で刷り直しになるケースがあります。

そうした事態を避けるためにも、固有名詞はしっかり校正しましょう。

ちなみに、同じ固有名詞が複数回出てくる場合の2つ目以降は、結構な落とし穴なので、ご注意ください。

一番最初の固有名詞は意識してチェックするのですが、同じ名称が繰り返し出てくると、「最初に正しかったから」と思い込み、ついスルーしてしまうのです。

繰り返し登場する固有名詞は、特に注意してチェックしましょう。

校正で最も見落とし厳禁のポイントは電話番号

個人的に、校正で何よりも見落としてはいけないのは電話番号だと思っています。

なぜなら、先述した病院名などの間違いよりも、迷惑を被る方の数が多いからです。

電話番号が間違っていたら、間違えられたお店や会社が困ります。

そして、それ以上に、間違えた電話番号を実際に保有されている方にも大きな迷惑がかかってしまいます。

例えば、誌面に載せたラーメン屋さんの電話番号を間違え、その番号がもし一般家庭のものだった場合。

全然、関係のないお宅にラーメンの注文電話などがいってしまうわけです。

これが広報誌など、不特定多数の方に配布するパンフレットだった場合、番号を修正して刷り直したとしても、すでに間違った電話番号はある程度、渡ってしまっています。

そのため、刷り直したとしても根本的な解決にはなりません。

電話番号の間違いでは、最悪の場合、間違えた電話番号を買い取るケースもあるそうです。

そうなると金銭的損失だけでなく、手間や時間のロスも小さくないでしょう。

このように、固有名詞や電話番号などの校正漏れは、番号の持ち主に迷惑をかけてしまうだけでなく、制作側にも刷り直し以外の損害が発生する可能性があるのです。

そして何よりも信用問題につながってしまいます。

野球でいえば、失点に直結するタイムリーエラーです。

このタイムリーエラーさえなくせば、あとは「100点じゃなくても」ぐらいの心構えの方が、必要以上にストレスを抱えずに文章の校正に取り組むことができ、結果、間違いを発見できる率もアップすると考えています。

文章には「間違いが必ずある」という前提で校正する

文章の校正は、非常に気が重い作業ではありますが、私は「間違いは必ずどこかにある」と信じて始めるようにしています。

つまり、「疑ってかかって読む」ということですね。

これって、先述した「校正に100点はない」という事実と表裏一体の話だと思うんです。

人間の作業である以上、校正漏れを完璧に無くすことはできないのなら、それ以前に、人間が書く文章である以上、必ずどこかに間違いがあるはずです。

個人的には、世に出ているさまざまな本やWebサイトなど、多くの文字や文章が載っている媒体の中で、ひとつも間違いがないものはほとんどないと思っています。

というわけで、特に見落としやすいポイントをいくつかご紹介したいと思います。

ひらがな、カタカナの文章は脳に補正されやすい

皆さんは「タイポグリセミア現象」って耳にしたことありますか?

タイポグリセミア現象とは、文章中の単語の最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても、正しく読めてしまう現象を指します。

例えば、以下の文章をサラッと読んでみてください。

みさなん こちんには さそっく ですが なんと かあている か よめすまか?

恐らく、多くの方が意外と普通に読めたのではないでしょうか。

でもこの文章、本当は間違いが5か所もあるんです。答えは以下の通りです。

さなん こちんには さそっく ですが なんと かあている か よめすまか?

こんなに間違っていても、意外と読めてしまうのは、脳が補正してくれているからなんだそうです。

すごい脳の働きですが、文章の校正をする際にはお節介な機能といえます。

そしてこの現象、特にひらがなやカタカナが4~6文字ほど並ぶと発生しやすいのだとか。

文章校正というと、漢字の間違いなどに注意を払いがちですが、むしろ多いのは、こうしたひらがなやカタカナだったりします。

大きな文字の見出しほど校正漏れしがち

次によく見逃しがちなのが、大きな文字です。

メインキャッチコピーとか、大きな見出しとかです。

先に例として挙げた、病院名の校正ミスも、実は、インタビューページの文中にあったのではなく、なんと、表紙にでかでかと書かれた病院名が間違っていたのです。

自分でも目を疑いましたよ。

たくさん文字が書かれているインタビューページの中で何度も登場するその病院名は、すべて正しい表記だったからです。

つい人は、細かい文字や文章ぎっしりの箇所に注意してしまいがちですが、それが落とし穴なんです。

大きな見出し、短いキャッチフレーズもしっかり校正しましょう。

間違いの後の間違いも校正漏れしがち

次に注意したい点は、間違いのすぐ後の文字や文章です。

校正をしていて間違いを発見すると、結構うれしいものですよね。「やった見つけた!」という喜びと「良かった見つけられた」という安心感が混じった感情に包まれます。

なぜなら、文字の間違いって、そんなにやたらとあるわけではないからです。

そうすると、間違いのすぐ後の文字や文章に対する警戒心が下がってしまうのです。

「そんなに間違いが立て続けには出てこないだろう」と、無意識に思ってしまうからなのでしょうか。

心理学の専門家じゃないのでわかりませんが、間違いのすぐ後の文字や文章に校正漏れが多いことはよく言われることであり、過去の自分の経験からもその通りだと感じます。

間違いを発見したら、喜んでもいいけど、すぐに冷静になって校正を再開しましょう。

改行箇所の間違いも校正漏れしがち

最後に注意したいポイントとしてお伝えしたいのが、改行箇所の間違いです。

どういうことかというと、こういうことです。下の校正用サンプル誌面の文章には、どこかに間違いが1箇所あります。

さて、どこに間違いがあるでしょう?

校正用サンプル誌面

見つけられましたか?

本文1行目の改行箇所と2行目の文頭にある「の」が、重複していますよね。

このように改行すると目が移動するため、一瞬注意力が散漫になり、見落としがちになるのです。

特にややこしいカタカナなんかが途中で改行されている場合は、注意が必要です。

文章の校正をどこまでするかは、考え方が重要なポイントに

以上が、「文章の校正ってどこまでやればいいの?」という問いに対する、僕の答えになります。

まず、「100点」の校正なんて人間である以上無理と思ってハードルを下げ、でもだからこそ、必ずどこかに間違いはあると信じて取り組む。

そして、タイムリーエラーだけは絶対にしないように努めつつ、間違えやすいポイントにも注意して根気よく取り組む。

この考え方と意識で校正に臨めば、「一体どこまでやったらいいのよー!」という状態にはならないでしょうし、そうそう大ごとになる校正ミスにもつながらないと思いますよ。

つまり、文章の校正は、テクニックも大事なのですが、それ以前にこうした考え方や意識の持ち方の方も重要だということです。

それでも心配!という方はぜひ、次のコラム「文章の校正ってどう進めればいいの?テクニックのポイント編」をご覧ください。

実際に僕がこれまで校正に生かしてきた、実践的なテクニックをご紹介していますので、今回の考え方と併せて、参考にしてみてください。

いつもパンフレットやチラシの校正が終わらずお困りのご担当者様は、ぜひ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。疲れない、効率の良い校正ノウハウを共有し、効果の出るパンフレット・チラシづくりに協力させていただきます!
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この記事を書いた人

これまで、教育系出版社、編集プロダクション、デザイン会社などでライター・編集者として約20年、広報誌や会社案内、社内報に記念史、リーフレット、チラシなどを制作してきました。

独立した現在は、主に個人事業主や小さな会社の営業用パンフレットや販促チラシ、Webライティングなどを通して、お客様の強みを言語化し、価値を「カタチ」にするお手伝いをしています。

モットーは「いいパンフレットでいいコミュニケーションを、いいコミュニケーションからいいビジネスを」。

そのために、「つくること」がゴールではなく、「本当に役に立つ」「ビジネスにつながる」パンフレット・チラシをつくります。

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