前回のコラム「記念誌のページ数はどう決める?」は、記念誌制作でよく頂く「何ページくらいの記念誌が多いんですか?」という質問にお答えする形で書かせてもらいました。
今回のコラムでは、もうひとつよく頂く、
「いつから作り始めたらいいんですか?」
という質問にお答えしていきます。
広報誌や社内報と違って、記念誌はそう頻繁に作るものではありません。
だから社内にノウハウが蓄積されにくいんですよね。
そこで、記念誌はいつから始動すれば良いのか、という疑問について解説していきます。
これまで、20年以上パンフレットを作ってきましたが、実は、記念誌が最も多いジャンルでした。
その経験をもとに、わかりやすくお伝えしていきたいと思います。
記念誌は手間がかかる上に、締切がシビアな冊子
記念誌は、社内報や会社案内などのほかのパンフレット類より手間がかかります。
必然的に時間も要します。
さらに、締切もほかのパンフレット類よりシビアになりがちな面があります。
いつから動き出せばいいのか、という本題に大きく影響するこのふたつの特徴について、まずはご説明していきます。
記念誌はページ数が多いため、制作に時間がかかる
なぜ記念誌は手間がかかるのか。
理由は簡単。ページ数が多いからです。
前回のコラムでもお伝えしましたが、記念誌のページ数はおおむね下記の表のようにまとめられると思います。
スリムな記念史 :30〜50p前後
よくある記念史 :100p前後
しっかり目な記念史:150p前後
もちろん、絶対この通りではありません。
統計をとったわけではなく、あくまでも、これまでの経験をもとにした目安です。
とはいえ、この表だけでも、一般的な社内報や会社案内よりはページ数が多いことがわかると思います。
30〜50ページもある会社案内って、結構レアですから。
記念誌のページ数が増える一番の要因は、「歴史」のページが幅をとるからです。
歴史のページとは、創業からこれまでの足跡を写真や文章で紹介するページのこと。
多くの記念誌にとって、メインとなる重要なコンテンツであり、時間も手間もページも要する部分です。
さらに、歴史のページは過去の写真や資料を収集する「資料集め」という作業が必要になります。
集めるだけでも結構、時間がかかるのに、集めた写真や資料の中から、記念誌に掲載するものを選ぶ作業も「判断」の連続なので時間と労力を要します。
そしてこの段階は、我々、制作側がお手伝いしにくいのです。
社内の方でもわからないことが多い昔の写真や資料ですから、もっとわからない我々は「判断」のしようがないからです。
そのため私は、記念誌のスケジュール作成時には「資料集め」として、たいてい数か月くらいは時間をとるようにしています。
記念誌作りのプロである制作側も「資料集め」に関しては、お手伝いできない点も、歴史ページに時間がかかる要因のひとつといえます。
記念誌は、締め切りに間に合わせることが何よりも重要
締め切りに間に合わせることは、記念誌に限らず、社内報でも会社案内でも大切です。
ただ、社内報のような年に数回発行する冊子は、たまに1か月くらい遅れても、それほど支障はきたさないでしょう(ダメなんですけどね…)。
会社案内にしても、正直、制作が遅れることは珍しくありません(ダメなんですけどね…)。
でも、記念誌はそうはいかないのです。
なぜなら、記念誌をつくるクライアントは、結構な割合で周年パーティーを開催され、そこで記念誌を配ることが多いからです。
パーティーという晴れの場で、「記念誌は間に合わなかったので渡せません」というわけには、さすがにいきません。
だから、何が何でも間に合わせる必要があるのです。
また、周年パーティーを開かなかったとしても、創立記念日までには、あるいは、その年の内には出さなければなりません。
周年にあたる年を超えて出していたら、周年誌の意味が半減してしまいますから。
こうしたことから、記念誌は、他のパンフレット類と比べて納期がシビアな冊子といえるのです。
まとめると、記念誌はページ数が多いのに、納期がシビアな冊子といえます。
だからこそ、最初のスケジュール立案が非常に大切になってくるのです。
記念誌の制作スケジュールは「余裕」を持って立てる
ということで、記念誌の制作スケジュールの立て方の説明に入っていきます。
最も重要なポイントは「余裕」を持って立てることです。
記念誌の制作は時間がかかるゆえに、「時間の余裕」こそが一番の武器になるのです。
では、制作に余裕のある期間とはどれくらいなのか、具体的に見ていきましょう。
余裕のある制作スケジュールの目安
| 記念誌のページ数 | 資料集め/企画・取材ページの量 | |
| 多め | 少なめ | |
| スリムな記念誌(30〜50p前後) | 1年前後 | 半年強 |
| よくある記念誌(100p前後) | 1年〜1年半 | 1年前後 |
| しっかりめな記念誌(150p前後) | 1年半〜2年 | 1年強 |
これまでの私の経験をもとにすると、だいたいこのような期間が目安になります。
これをもとに逆算し、そこにご自身の会社の都合などを加味していけば、ある程度は余裕を持って制作を進めていけると思います。
大きな別れ目としては、「資料集め」の量と、それ以外に企画ページがどれだけ入るか、そして社員さんや社長様へのインタビュー、座談会などがどれだけ入ってくるかという点でしょう。
ちょっと込み入った企画ページだったり、規模の大きな座談会などをいくつも載せるようなら、もう少し時間がかかるかもしれません。
また、これは記念誌づくりの経験がある制作会社と協働したケースを想定しています。
もし、記念誌の制作が初めてとか、そもそもパンフレット(ページもの)の経験が少ない制作会社さんと作る場合も、もう少し時間の余裕を持った方が良いかもしれません。
記念誌は、制作期間が長いがゆえに、さまざまなトラブルや想定外の出来事が発生します。
そんな記念誌の制作をスムーズに進める一番の方法は、時間の余裕をもって、じっくり手間をかけながら進めていくことだと私は考えています。
つまりは、「急がば回れ」の理屈ですね。
記念誌のスケジュールは、大体ずれる、遅れる
記念誌の制作は大体、遅れます。
これまで30冊以上は記念誌制作に関わってきましたが、スケジュール通りにきちんと制作が進んだケースの方が少なかったと思います。
ですので、初めからもう「遅れるものだ」という認識でスケジュールを立てることも重要です。
前述の表を見るとわかるように、記念誌は大体1年前から着手するケースが多いわけですが、1年なんて本当にあっという間です。
ある程度サクサク進んでいるなー、と思ってちょっと手を離して本業に集中したりすると、数か月くらい平気でワープします笑。
また、記念誌は社内のさまざまな部署や人に方に協力していただく機会が多い冊子でもあります。
そうなると、自分だけではコントロールできない部分も出てきますよね。
どこどこの部署から部署紹介の記事がいつまでも出てこない、とか、ずいぶん前から社長に挨拶文を頼んでいるのに書いてくれない。
こうしたことは、記念誌制作においては「超」あるあるです。
こうした予定のずれも解消してくれるのが、時間の余裕なのです。
記念誌の締め切り延長は最大のタブー
最後に、記念誌のスケジュール進行において絶対に避けてほしい、と私が考えていることをお伝えします。
それは、締め切りの延長です。
記念誌は遅れるのが当たり前、とはいうものの、絶対に超えてはならないラインがあります。
例えば、2026年11月が50回目の創立記念日のため、11月中の完成を目指していたとします。
その50周年記念誌が、1か月ほど遅れて12月の完成になったとしても、(11月に記念パーティなどを予定していなければ)ギリギリOKかなと思います。
ただ、これがさらに1か月遅れて2027年1月に完成したら…これはアウトだと考えています。
2027年は51年目にあたるからです。
例えれば、2026年に還暦を迎える方に、翌2027年に還暦記念のプレゼントをするようなものかなと。
送る方も、もらう方も気にしないのであれば問題ないかもしれませんが、記念誌はプライベートなプレゼントではなく、企業が発行するオフィシャルな冊子です。
そうした意味でも、できる限り、せめて、周年の年はまたがないように完成を目指してもらえたらと思います。
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