大阪吹田の編集ライティング&デザイン制作

文章の校正ってどう進めればいいの?テクニックのポイント編

校正の進め方のテクニックについてのメモ

会社案内や広報誌などのパンフレット類、あるいはチラシの文章校正って、地味に大変な作業ですよね。

という書き出しで始めたこのシリーズの最初のコラム『文章の校正ってどこまでやればいいの?考え方のポイント編』では、文章の校正を進めるにあたって必要な「考え方」について、さまざまご紹介しました。

そして、今回は「考え方」に続く、第2弾。「テクニック」編です!

「結局、校正ってどう進めればいいのよー!」

という方のために、文章校正の実践的なテクニックをお伝えしたしたいと思います。

このコラムのために、オリジナルの「練習用校正誌面」も作りましたので、ぜひ、間違いを発見できるか挑戦してみてください!

本コラムでお話しする内容は、基本的にパンフレットやチラシといった紙媒体を前提とした文章校正の方法になっております。

でも、Webの文章校正にも通じる考え方だと思うので、Web担当者の方も、ぜひ参考になさってください。

目次

文章校正のテクニックには「編集視点」が欠かせない

 今回のテクニック編では、先述したように実際の誌面をもとに練習をしますので、「文章の校正」といいつつも、文章そのものの間違いだけでなく、誌面全体の間違いも校正するテクニックを含んでいます。

 普段、ライティングしか行っておらず、誌面作りに関わっていない方は「そんなのいいから」と思われるかもしれません。

 でも、ひとつの文字や一つの文章をチェックする能力に加えて、俯瞰して全体を見渡す「編集視点」もプラスされれば、普段の文章の校正にも必ず役に立つと思います。

 ですので、誌面作りに関わっていないライターさんやWebライターの方も、ぜひ、練習用校正誌面の間違い探しに挑戦してみてください。

 きっと、いろんな気づきが得られると思いますよ。

文章校正のテクニックは「気をつけたい7つのパターン」を知っているかどうか

 では早速、校正の「練習用校正誌面」をご覧いただきたいのですが、その前に一つだけ大事なお話しを。

 それは、校正の「テクニック」とはなにか?ということです。

 結論から言うと校正のテクニックとは、つきつめれば「間違いが頻発するパターンをどれだけ知っているか」だと思います。身もふたもない言い方ですが笑。

 あとは、どれだけ集中して見続けられるかだけなんじゃないかと。

 というわけで、ここからは練習用校正誌面に隠された、気をつけたい7つのパターンを見ていきながら、実践的なテクニックを解説していきたいと思います。

文章校正で気をつけたいパターン①「一文全体の間違い」

 まずは、下の練習用校正誌面をご覧ください。これは、架空の大学の入学案内を想定したオリジナルの誌面で、A4/2ページ(A3サイズ)の見開き誌面です。

 可能なら、ダウンロードしてプリントアウトした上で校正することをおすめします。

 では、最初に気をつけたいパターン「一文全体の間違い」から。

 今回は誌面の構成なので、文章以外のパターンも紹介しますが、まずは文章全体の間違いから見つけていきましょう。

 この誌面には、校正した方がいい文章が3文あります。わかりますか?

 ヒント。すべて、左側のページにあります。

 それでは、答えです。

(左ページ)下段の男子学生・山田太郎さんの箇所
⚫️見出しの文章「実践形式で行われる授業が、リアルに役立つ知識を学ぶことができています」。

 この文章に違和感を覚えた方は多いでしょう。間違いとしてはわかりやすい方かなと。ただ、どこがどうおかしいのか、説明できますか?そこまでできたら完璧です!

 答えは、主語と述語がねじれているんです。

 この文章の主語は「授業」です。述語は「学ぶことができています」です。これだと、授業が学ぶことになっちゃいますね。

 でも、学ぶのは山田さんですから、主語が異なる文章が混じってしまっているんです。こういう状態を「主語と述語のねじれ」といいます。そして、よくある間違いでもあります。

 では、続いてもうひとつ、答えは以下の通りです。

(左ページ)下段の男子学生・山田太郎さんの箇所
⚫️本文の前半「〜知識やスキルを習得できる授業がカリキュラムには含んでいます」。

 この文も違和感には気づきやすいと思いますが、どこがおかしくて、どう直せばいいかおわかりですか?

 正解は、文末の「含んでいます」を「含まれています」に変えると、文法的に正確な文章になります

 主語の「授業」はカリキュラム「を含んでいる」のではなく、カリキュラム「に含まれている」ものだからです。

 なので、受け身に直せば違和感はなくなります。

 ということで、3つ目です。

 実は、3つ目の文章は厳密には間違いではありません。ただ、読みやすい文章に修正する、という意味では校正をした方が良い箇所になります。

 わかりましたか?答えは次の通りです。

(左ページ)上段の女子学生・田中花子さんの箇所
 ⚫️本文の前半「少人数の講義やゼミが多いので、〜どの先生も学生目線で接してくださるので、いつでも気軽に質問できる〜」の部分。

 ひとつの文章の中に、「ので」という接続助詞が2回も出てきていますね。これは、あまり良い文章とはいえない、避けるべき表現でしょう。

 では、あなたならどう直しますか?直し方はいろいろあるので、答えはひとつではありませんが、なるべく原文を変えずに直すならこんな感じではないでしょうか。

 「少人数の講義やゼミが多いので、先生との距離が近い上に、どの先生も学生目線で接してくださいます。そのため、いつでも気軽に質問できる環境が整っています」

 この文章、なぜこんな文章になるのかというと、一文が長すぎるのです。長いから接続詞でつないで、つないで、っていしているうちに同じ表現が出てきてしまうんです。

 全部で6行の文章の前半4行がひとつの文章というのは、やはり長すぎでしょう。

 そういった際の解決策は、文章を短くする、それだけです。そんな単純なことで、文章ってグッと良くなったりするんですよ。

文章校正で気をつけたいパターン②「誤字・脱字」

 では、次の気をつけたいパターン「誤字脱字」を説明します。

 この誌面の中には、いくつ誤字・脱字が含まれているでしょうか?ヒントは、どちらのページにもあります。そして数は、各ページ1つずつです。

 わかりましたか?

 では、正解です。

 (左ページ)上段の女子学生・田中花子さんの箇所
⚫️本文1行目の最後の文字と2行目の最初の文字である「の」がかぶっている。

 これは前のコラム『文章の校正ってどこまでやればいいの?考え方のポイント編』で、間違いを見つけにくいポイントとして紹介した、「改行時」の誤字ですね。

 改行があると、一瞬目線が切れるため、こうした単純な間違いも見落としがちになります。

 では、もう一つはどこでしょう?

 正解は以下の通りです。

 (右のページ)一番右上の英字「Campas snap」のつづり。
⚫️正しくは「Campus snap」。

 文章の校正というと、どうしても本文に目がいきがちですが、今回は「誌面の構成」です。

 こういうすみっこの文字も見る必要があり、こういう所にこそ間違いは潜みがちなのです。

 しかも英字はパッと見ではわかりにくく、さらに、この例のようにサラッと読むと 「キャンパス」と発音的には違和感がない場合は、さらに見落としやすいので注意が必要です。

文章校正で気をつけたいパターン③「語句・数字の統一」

 では、次の気をつけたいポイント「語句・記号の統一」です。

 ここでいう語句の統一とは、例えば「様々」と漢字になっている箇所と「さまざま」と平仮名になっている箇所や、「何人」と「何名」が混じっている場合に、どちらかに統一する修正を指します。

 そして、数字の統一とは、誌面に掲載されている「#1」「No.1」などの数字がきちんと順番通りになっているかということです。

 では、上の練習用誌面の「語句・数字の統一」でおかしなところはどこでしょうか。

 ヒント。このパターンの間違いの数は3つです。

 では正解です。

 (左ページ)上段の女子学生・田中花子さんの箇所
⚫️所属学部・学科の最後、3「年生」という表記。

 田中さん以外の3名の学生は、「⚫️回生」となっています。

 もちろん、それだけで「年生」の方が間違っているという根拠はなく、もしかしたらこの大学における正しい表記は「回生」かもしれません。

 が、ここは練習用誌面ということでご容赦ください。田中さんだけがほか3名とはことなる学年の表記だということに気づけばOKです。

 では、あとふたつ。わかりましたか?

 答えは以下の通りです。

 (両ページ)01田中さんと、03鈴木さんの本文中。
⚫️田中さんの2行目「〜が近い上に」、鈴木さんの5行目「そのうえ〜」の不統一。

 「上に」という表現は、いわゆる「ひらく(平仮名にする)」か「閉じる(漢字にするか)」かでよく迷う文字です。

 正解はないので、漢字でも平仮名でも良いのですが、どちらかに統一しておきましょう。

 そして、もうひとつの答えです。

 (右ページ)下段の女子学生山本吉子さんの箇所。
⚫️番号が02ではなく04。

 これは単純なナンバリングの間違い。でも本当によくある間違いで、しかも、前回のコラムでもお伝えした通り、大きな文字は見落としやすいので要注意です。

文章校正で気をつけたいパターン④「句読点の抜け」

 次のポイントは「句読点の抜け」です。 句点とは「。」のことで、読点とは「、」のことを指します。

 さて、どこにこれらの間違いがあるでしょうか。句点の間違いがふたつあります。

 わかりましたか?では、答えです。

 (左のページ)下段の男子学生・山田太郎さん
⚫️見出し文の最後と、本文の最後の行の文末に句点(。)がない。

  本文の末尾に句点がないことは気づいたけれど、見出しにも句点がないことは見逃した方が多かったんじゃないでしょうか。

 これも「大きな文字ほど見逃しがち」という、文章校正あるあるなので、お気をつけください。

文章校正で気をつけたいパターン⑤「ノンブル」

 ノンブルとは、ページ番号のことです。って、もう答えを言ってしまってますね。

 そう、ページ番号が間違っています。

 (両方のページ)ページ番号
⚫️どちらのページも10と記載されている。

 この見開きの前後のページのノンブルがわからない以上、どちらの10が間違っているかわかりませんが、どちらかが間違っていることは確実です。

 ノンブルは、誌面の端にあることも含め、かなり見逃される傾向がある上に、ページ番号を間違うことは冊子作りにおいてまあまあ恥ずかしいことなのです。

 と、わかっていても、つい見逃してしまうのがノンブルなのでご注意を。

文章校正で気をつけたいパターン⑥「字下げ・字間」

 個人的に、誌面の校正で最も見落としてしまうのがこの「字下げ・字間」の間違いです。

 この誌面では、字下げ・字間それぞれ1箇所ずつ間違いがありますが、特に字間の方はかなり難しいと思いますよ。

 ヒントは、どちらの間違いも同じ人の文章内にあります。

 いかがでしょう、わかりましたか?

 では、答えです。

 (右ページ)上段の女子学生・鈴木安子さん
⚫️本文5行目が改行されているのに字下げされていない。姓と名のスペースがここだけ全角ひとマス空け(ほかは半角ひとマス空け)。

 文頭の字下げはともかく、苗字と名前の字間の違いは、かなり難しかったんじゃないでしょうか?

 これに気づいた方は、かなり校正能力が高い、編集者に向いている方かもしれません。

文章校正で気をつけたいパターン⑦「イラスト・写真・あしらいなどの不備」

 では、最後のパターン「イラスト・写真・あしらいなどの不備」です。

 誌面全体の校正には、こうした部分も含まれますよ〜。イラストが反転していたり、罫線などのあしらいが切れていたり、太さが違ったり、例をあげ出したらキリがありません。

 ということで、この誌面ではどこがおかしいでしょうか。

 ヒント。このジャンルの間違いは1箇所です。そして、結構ムズカシイのでよーく見てください。

 では答えです。 

 (右ページ)下段の女子学生・山本吉子さん
⚫️02を囲っている四角の罫線が、ほかに比べて少しだけ太い。

 いかがでしょう?これも上の問題に続いて、難しかったんじゃないでしょうか。

 でも、こうした箇所の間違いも全然、珍しくないので、覚えておきましょう。

文章の校正のテクニックは実践を重ねるごとに向上していく

 というわけで、練習用校正誌面には合計14箇所の間違いがありました

 いくつ発見できましたか? 

 文章の校正能力は、「見るべき箇所を知っているか」が重要だとお伝えしましたが、いくら間違いが頻発する箇所を知っていても、実践を重ねなければ向上はしていきません。

 ご自身の文章はもちろんですが、ちらっと見かけた何かの誌面で、今回のような間違いを発見する習慣をつければ、着実にテクニックは向上していくと思います。

 では最後に、文章の校正をする際に最も重要なポイントをお伝えします。

 今回の練習用校正誌面、最初に「出力して校正することをおすすめします」とお伝えしましたが、その際、きちんと実寸で出された方はいますか?

 きっと少ないんじゃないかと思います。もちろん、この練習用誌面はA3サイズなので、家庭用プリンターの多くの機種では実寸で出せないですよね。

 でも、片面ずつA4サイズで出力すれば、ほぼ実寸で出すことはできます。

 読者は、必ず「紙」で「実寸」で誌面を見ます。

 であれば、文字をチェックする側の人も、同じ条件で見なければ校正の効果が下がってしまうことを最後にお伝えしておきます。

広報誌・会社案内などのパンフレットやチラシの文章校正にお困りのご担当者様は、ぜひ、お問い合わせフォームよりご相談ください。効率良く、スムーズに校正するノウハウを共有しつつ、効果の出るパンフレット・チラシづくりに協力させていただきます!
初回40分無料のオンライン制作相談も承っております!
eパンフLabトップページ

シェアしていただけると嬉しいです
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

これまで、教育系出版社、編集プロダクション、デザイン会社などでライター・編集者として約20年、広報誌や会社案内、社内報に記念史、リーフレット、チラシなどを制作してきました。

独立した現在は、主に個人事業主や小さな会社の営業用パンフレットや販促チラシ、Webライティングなどを通して、お客様の強みを言語化し、価値を「カタチ」にするお手伝いをしています。

モットーは「いいパンフレットでいいコミュニケーションを、いいコミュニケーションからいいビジネスを」。

そのために、「つくること」がゴールではなく、「本当に役に立つ」「ビジネスにつながる」パンフレット・チラシをつくります。

目次